観光としての滞在を超え、仏教の精神性を体得する四日間の旅。水行や題目登拝といった本格的な修行を通じ、僧侶と共に自己の内面と深く向き合う。真の精神的変容(トランスフォーメーション)をもたらす稀有な機会です。
僧侶の指導のもとで冷水をかぶる、あるいは滝に打たれる。その激しい身体的感覚を通じて雑念を払い、これから始まる修行のために精神を極限まで研ぎ澄ます、浄化の儀式です。
天と地をつなぐ音色とされる「雅楽」。地元の身延山高校の生徒たちと共に、その楽器を奏でる手ほどきを受けます。息を合わせ、音を重ねる体験を通じて、言葉を超えた他者との調和や、日本文化の精神性を肌で感じてください。
白装束に身を包み、団扇太鼓のリズムに合わせて「南無妙法蓮華経」を唱えながら身延山を登ります。自身の呼吸、足音、そして声が一体となり、無心で山を踏みしめる「行(ぎょう)」を体感してください。
かつて数多の講中(こうじゅう)が草鞋を脱いだ、石畳の宿場町「赤沢宿」へ。 江戸時代から時が止まったかのような風景の中、先人たちが歩いた道を辿ります。書物ではなく、その土地の空気と足裏の感覚から、信仰の歴史を読み解く時間です。
法華経の守護神が住まうとされる聖地、七面山へ。その険しい参道は、苦難を乗り越えて新しい自分に生まれ変わるための「産道」にも例えられます。肉体の限界に向き合い、一歩一歩高度を上げる過程で、過去の自分を削ぎ落としていきます。
目指すは山頂近く、俗界から隔絶された宿坊「敬慎院」。ここにあるのは、圧倒的な静寂と満天の星空だけです。現代社会のノイズが届かない雲上の聖域で一夜を過ごし、自身の内面と深く対話する、孤独で豊かな夜を迎えます。
夜明け前、敬慎院の門前に立ち、富士山彼方からの日の出「御来光」を待ちます。日本古来の太陽信仰において、それは単なる自然現象ではなく、真理の現れです。高地で迎えるその光は、修行を終えた心に鮮烈な気づきを与えてくれるでしょう。
旅の終わりは、若手僧侶との対話の座です。この数日間の体験と言語化し難い感覚を共有し、議論することで、一連の修行を単なる思い出ではなく、これからの人生の糧となる「智慧」へと昇華させます。